京都市右京区にある龍安寺(りょうあんじ)といえば、有名な枯山水の石庭のある禅宗のお寺でおそらく知らない人はいないでしょう。龍安寺は「応仁の乱」で東軍の総帥として活躍した細川勝元が、宝徳2年(1450年)に創建した臨済宗妙心寺派の寺院です。龍安寺はその石庭とともに、「古都京都の文化財」として1994年にユネスコの世界遺産にも登録されています。

この龍安寺に、古銭を型どった「知足の蹲踞(つくばい)」というものがあることをご存知でしょうか?「つくばい」とは手洗い用の水をいれた手水鉢のことですが、この知足の蹲踞は水戸藩主徳川光圀公の寄進によるものと伝えられており、龍安寺十勝のひとつである茶室・蔵六庵の路地に置かれています。つくばい全体が古銭の形をかたどっていて、古銭の穴の部分が手洗い用の水を溜める水溜めとなっています。

この水溜めの回りに、水溜めの「口」の形を含めて「吾唯足知(われ唯足ることを知る)」という文字が記されています。「足ることを知っているものは貧しくても幸福であり、足ることを知らないものは富んでいても不幸である」という意味の禅宗の格言で、釈迦の教えから取られたものとする説や老子の教えから取られたものとする説などがあります。知足の蹲踞は、この禅宗の教えを古銭の形にデザインすることによって戒めたものといえるでしょう。

「吾唯足知」の古銭をかたどったつくばいは、龍安寺以外にも広島市東区にある聖光寺(しょうこうじ)の庭洞景苑にも同様のものがあります。